フランス・ベルギーの旅を終えて②

②サモロー滞在編


6/27-29 

さて27日は朝から移動し、ジプシージャズキャンプサイトがあるSamoreauへ。
リヨン駅複雑で迷いましたが、無事到着、もともと日本に住んでいたスーパーギタリストBruno さんにも久々の再会。早速知り合いの楽器屋さんのキャンプサイト連れていってもらいセッション開始。

広々としたキャンプ場では、がちジプシーの人たちがたくさんいて、大きな冷蔵庫そのまま置いてあるキャンプや、大きなキャンピングカーからテントを張り、屋外にソファー、大きな椅子などを出して、夜は美しくライティングもしてくつろぐ人々も。
がちジプシーの皆さんすごい。

至る所でセッションが始まっており、Brunoさんを始め多くの人がフェス開始1週間前から集まり夜な夜なセッションをしていたそう。

みんな数曲参加しては別のセッションに行ってしまうので、あんまり一つのところに留まることはなく、色んな人とセッションができました。
とはいえ、なかなか知らない人、言葉も通じない人たちの中に飛び込む勇気がも出ず控えめに…

また存在は知らなかったけど、次世代の超優秀なプレイヤーがたくさん、特にジプシーの方のプレーは圧巻。サウンドは美しく、弾き損じはなく、20代前半ですでにレジェンドと同じようなプレーができる。
彼らは今後どうなりたいのか、どうなっていくのか、将来がとても楽しみだなと。

憧れのMathieuのお父さんのキャンプサイト内、素晴らしいプレイヤーの人たちも超一流ジプシープレイヤーの中にはどうやら入りにくい雰囲気があるのでは?という感じで、入って良いものか伺っている印象が。

また、有名どころのDjangoの曲はほぼせず、swingに捉われず、私が全然知らない曲をたくさんやっていました。

私も少し入らせてもらったけど、入らなければよかったという思いの方が強く、正直あまり楽しめず。
ジプシーの人々の演奏はただ見てるだけで十分楽しかった。

彼らを目の前にして、自分の未熟さがはっきりわかり、「ああよく音楽の仕事がないのを日本のせいにしてたけど、自分の未熟さゆえだ」ともハッキリ思った。
確かに海外は需要があるし、音楽に対するリスペクトもある。
ただ、日本でも優秀なプレイヤーは大成しているし、結局自分に問題があるのだと。

確かに、チャージ料金からお店へのバックがどの程度で、的な話を聞くと、ああ日本てっとも思うけど。
自分のレベルを底上げするしかない。

ただ、各国の素敵なプレイヤーたちに出会えたことは間違いなく良かったし、暖かい声をかけてくれたプレイヤー、また私と同じように遠慮しちゃってるバイオリン勢でみんなで初対面アンサンブルができたことも楽しかった。

また、去年オランダのGrappelli Django Campで出会った素敵なギタリストCornelius🇬🇧、Quentin🇬🇧、Alexander🇳🇱とも奇跡の再会。
奇跡というべきか、必然なのか、小さな世界ってことかな。

今回あまりに参加者が多く、正直誰が誰だか覚えてない(しかも髭とか髪型とか変わると完全に分からない)けど、また再会できたらなと。


29日はいよいよ

初のFestival Django Reinhardt へ。


どうやら1000人+自由席くらい規模の小ステージと、1万人規模くらいの大ステージとあり、小ステージから観戦。
1組目から良かった。ジプシーの人たちの統制の取れたサウンド、リズムは心地よくて、バイオリンも美しく、知らない曲が多かったですが、ものすごく心地よかった。

Auroreさんのステージは前述のとおり。娘さんがなんと誕生日だったようで、お客さんとBirthday Song大合唱。
笑いあり、涙あり、最高なステージ。
そして、大ステージへ移動。結構グッズ、雑貨、物販が並び、Auroreさんの初期のアルバムと、フェスの水筒を入手。
その後豪雨で立ち往生。貼ってあったテントの中で時間を潰しラストAngelo Debarre のステージを木の下の雨の弱いところで観戦。

初めAngelo1人で出て来てスポットライト1つが当たる中ソロギターを披露。マカフェリギターの音が美しく心に響く。その後バイオリニストが出て来てcsárdásを披露。超絶テクニック。

その後プレイヤーが増えていくとライティングの本数が増える。
別のギタリストによるスパニッシュギターのソロがあったり、Angeloの息子との演奏があったり。最終的に時間が足りなくなったようで物足りなかったけど良いステージだった。

とある動画でAngeloはジプシーの音楽はジャズじゃなくて継承音楽です、Djangoは好きに弾いてDjangoのスタイルを確証した、と言っていた。
その動画を見たのはサモローを離れてからだったけど、なんとなくキャンプ、フェスを通じて意味を理解していた。

一緒に暮らし、一緒に音楽をやり、ロマの言葉で会話する。隣のレジェンドから耳で学び自分のものにしていく。若いうちから技術をつけ、そこから発展させていくのだろう。

それが伝統的に世代を超えて発展していく。

なんとなく、「ああ、この場面に立ち入るのは無理がある」キャンプ中に感じたこと、Angeloの言葉も聴き1人で納得した。

YouTubeを見て追っかけているだけでは足りないし、そもそも私にはバイオリンの技術も足りない、あんな超絶技巧なんてできない。若き優秀なプレイヤーと比べたら良い年でもあるし、そもそもジャズを始めたのが遅すぎる。

ジプシーの人たちは素晴らしいけど、
フランス国内や、その他国外のリスナーからも認められているがやはりマイナー音楽。
ただ、そのスピリットを受け継ぐには長い時間をかけて学ぶ必要があり、だからこそメジャー化すること、他の人々が容易に参入するのは世代を超えて継承していくという強い目的の中にはどう考えても入れないんだなとも思う。悪くいうと閉鎖的。
セッションも上手い順に組まれ、決して入りなよと声がかかることはなく、若干図々しく飛び込まないと受け入れられない雰囲気だった。(中には喜んでくれるプレイヤーもいたことは追記しておく)
私の思い込みかも知れないけど、人の顔色を伺ったり、空気を読む能力はあると思うので間違ってはないはず。
ただ、私の場合はろくに練習もせず、ソロにおけるボキャブリーも浅い。ソロの組み立てに対する入念な思考もこれまであまりしてこなかった。
今回他のギタリスト、バイオリニストから演奏において学ぶことはとても多くて、いろんなアプローチをして良いのだと思うきっかけに。
自分の年齢、技術からして何でもかんでもはできないので、自分がやりたいこと、大切にしたいことを高めて取り組み、少しずつアプローチの幅を広げていこう。

話は戻るが、29日は深夜2時まで参加したのち、翌日のベルギー移動に備え、AirBに帰り就寝。


坪内佑美

ジャズバイオリニスト 坪内佑美のホームページです。 ジプシージャズ、好きなアーティスト紹介、ライブやセッション、セミナー等のお知らせをしています。

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